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封印方法:携帯から電池を抜き取り本体は引き出しへ&電池は妹に預ける。
鉄★壁!(…)
ということでご用の方はコメントかパソコンへどうぞ。
遠くの山が徐々に雪化粧を落とし青くなる。きんと張りつめていた空気が少しずつ温んで、時折吹く風は思いのほか柔らかい。
スクアーロは春先を愛した。似合わないと言っていつもからかわれたが。
「う"お"ぉい、ボス! 任務終了したぜぇ」
勢いよく開いたドアの向こうから、非常な速度を持ったグラスが飛んできた。間一髪で避けると、割れたスワロフスキーの破片が頬を皮一枚裂く。矢継ぎ早に、「片付けろ」の声。
「う"お"ぉい! ふざけ」
「文句あんのかカス」
「…」
「先に報告書を置いて行けよ」
上司の理不尽はいつものことだ。そうやって諦められるくらいにはそれに慣れたし学習もした。ため息を抑えながらかれは持参した薄い用紙を差し出す。「字が汚ぇ」と伸ばしはじめてしばらく経つ髪をつよく引っ張られる。
「い"ってぇ!」
その暴君の手のあまりの力に、思わず右手をかけて抵抗した。
「…?」
妙なタイミングで力が緩んだので、スクアーロが薄目を開くと、何やらザンザスが視線を下げて何かを注視している。
「手袋はどうした」
「…あ"? …あぁ、血が染みて気持ち悪かったから…」
「…フン」
すると、まったく不意のことである。何年も前に唯一になってしまった白い手を、ザンザスの手がそっと撫でた。さすがのスクアーロも動きくらい止める。瞬間的に暴力を覚悟したのだ。
しかしその指先は予想に反して、感慨深げに、ともすれば愛でるみたいに。
冷たい指だ。けれど掌から先はきちんと温かい。初めて知った。デスクワークで指先の筋肉が固まり、そこだけ冷たいのかもしれない。思えばかれの手になど殴られる瞬間くらいにしかろくに触れたことがない。だからだろう、かれの掌にわたる不思議な温度差は、スクアーロに新鮮だった。
「…ぼ、ボス? どしたぁ?」
「…」
しばらく撫でさすられる。
憤怒だろうと、やはりそれは、ちゃんと炎をうちに宿した手で、冷えた手には心地よい。
ああ、あったけぇなあ、なんて惚けていたら、前触れなく手の甲を抓られた。地味に飛び上がる。
「う"お"ぉい!」
ザンザスは応えず立ち上がり、奥の部屋に消えた。
「…う"お"ぉい…」
程なくして戻った手には、見覚えのある黒い手袋があった。
「テメェがこないだ雑巾絞るのに外して忘れてった」
「す…捨てなかったのかぁ?」
「あまり身体は冷やすな。左に障る」
スクアーロは冷え性というわけではないが元々体温が低い。筋肉が少ないせいじゃないかとルッスーリアに言われたことがある。確かに、冬になって身体が冷えると、ようやく幻肢痛の止んだばかりの左手はことさらに痛んだ。
「…ありがとなぁ」
「ところで絨毯、染みを残したらかっ消すからな」
「う"…」
手袋を差し出す上司の手を見る。
その手がした、珍しく露出したかれの手の冷たさをまるで慰めるみたいな手つき。スクアーロははっきりと覚えている。
気まぐれにしては質が悪いし意味深すぎた。
怖いので真意を察しようなどと思わないが。
「…ん?」
…俺は何が怖いんだ?
(春が近い。傍まで来ている。しかしまだ来ない。今はまだ来ないのだ)
(死ぬより早く、来るかしら)
*
だいぶ削ってすっきり。若ザンスクです。もうちょっとドメスティックにバイオレンスなザンスクが書きたいんですけどね! ほんとはもっと痛々しいネタで考えていて、スクアーロの帰還前に死にネタ(あんたが気づくと辛いだろうから、俺は結局言わずに死んだ みたいな話だったんだ当初は)でやりたかったけど間に合わなかった。でもおめでとうスクアーロ…!(号泣)
春が来ますね。タイトルは最近の新聞で知った素敵な言葉です。はるとなり、と読むそうです。記録的な暖冬ですがわたくしは春より冬の方が好きです。春になると何かいろいろ蠢き出すし、妙に緩んでくる空気もあまり好きではありません。イタリアの冬~春なんて知らないので適当ぶっこきましたが。
あまり関係ないですが最近気分は早春賦です。あの歌好き。春ーは名ーのみーの風ーの寒さやー♪ リアルに笑えない。
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きれいな満月を久々に観た。
寝酒を手に部屋の電灯を消したら、カーテンの隙間から垣間見えたまるいかがやきと白い夜に、スクアーロは思わず「おっ」と目を見張った。
「いい月じゃねえかぁ」
一人暮らしは独り言が増えるのが少々虚しい。しかし今はそんなもの些事である。かれは冬の夜にもかかわらずカーテンと窓ガラスを全開にし、意気揚々とベッドのうえに寝そべった。寝酒改め、月見酒も悪くない。
月は蜜色もいいが、やはり銀のそれが好ましい。満月ならなおのこと。前の回は薄曇りで、朧な光が夜駆ける身に優しかった。その前は赤い月で、少し嵌めを外して返り血でずぶ濡れになったのだっけ。月の明るい夜は、人殺しをするのに少しだけ難儀する。夜を濡らすみたいに取り返しのつかない光が、そっくりな色でできているかれを選ぶみたいに暗闇から掬い上げるのだ。
「そーいやぁ月の明るい日はあんま任務ねぇかも」
非番も久しぶりだ。だからといってまさかかれの上司が月の満ち欠けなどという繊細なものをいちいち慮っているとも思えなかったけれど。
安いわりになかなか旨い酒で休日の終わりを締めくくりつつ、かれはつらつらと物思いに耽る。剣の手入れ、明日の任務、溜まりがちな家事のこと。考える内容はともかく、豊かな時間だ。酒もいい具合に回ってきた。火照った身体に夜風が心地よい。
ただ、少し物足りないか。
「…」
そしてかれは、誰も見る者がいないのでようやくちょっと諦めてみる。
空のグラスをサイドテーブルに置き、目を閉じて、今日はまみえなかったあの赤い目を想った。会えば殴られるか蹴られるか犯されるかの三択なのに、大概自分は救えない。 自分は馬鹿なのだから、仕方ないのかもしれない。
ひょっとして、白い夜に惹起された、どれでもいい、衝動に、今にもあの窓からブレーキの一つでも聞こえやしないかと。非常識なコールの一つでも鳴らないかと、冗談めかして、願いさえして。
この決まりの悪さが全部夢になって忘れてしまえればいいと、スクアーロは勢いよく毛布を被り。寄せてきた睡魔の波に、赤色をした意識を急いで溶かした。
位置の動いた満月は、開け放たれた窓からはもう見えない。
スクアーロはそんなだから、夜の通りに音もなく止まった黒塗りの車体に気づくこともない。
*
戸締まりが不用心なのや気配に気づかないのは問題じゃないか暗殺者として。第一スクアーロがこんな乙女だったらすごくひく。
寝ようとして灯りを消したら月が明るくてびっくりしたので書いてみました。なんとなく小川未明の「月夜とめがね」なイメージを思いながら書いてみたけれど全然違いますね。